自殺者数が高止まり…官民連携で進み始めた「孤独・孤立対策推進法」
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「孤独・孤立対策推進法」です。
社会全体の課題。官民連携により急ピッチで進む。
今年の通常国会で「孤独・孤立対策推進法」が成立しました。孤独や孤立は、「個人の努力が足りない」ものでも、「仕方のない問題」でもありません。社会全体の課題で、社会で解決しなければいけないと、本腰を入れることになりました。この法律は、国主導でできたものではありません。
長年孤独・孤立対策や貧困対策などを進めている「自立生活サポートセンター・もやい」や、24時間365日無料・匿名チャット相談を行っている「あなたのいばしょ」など、現場の窮状を知るNPO法人の方々が、前政権時代から「官民で連携してほしい」「国が司令塔となってほしい」「自治体が積極的に対処できるよう目標を定めてほしい」と働きかけていました。これにより、一昨年、孤独・孤立対策担当大臣が生まれ、本法律が成立に至ったのです。
基本理念には、「孤独・孤立の状態は人生のあらゆる段階において何人にも生じ得るものであり、社会のあらゆる分野において孤独・孤立対策の推進を図ることが重要」