八嶋智人、舞台『桜の園』は「登場人物の中でちゃんとしている人って僕だけですからね」
「素晴らしいキャパシティを持った方で、僕らを新たな発見に導きながら遊ばせてくれる感じがあります。毎回、このシーンで何をやるのか、それぞれの役の思惑、俳優自身の思惑まで事前に明確にするんですね。それを全員共有した状態で稽古して、生まれた発見を持って最初のシーンに戻ると、自然と芝居が肉付けされているのがわかる。視覚的な面でも、抽象的なセットの意味を全員が共有した上で稽古するんですね。だから、ラネーフスカヤが自らの意思で舞台の台の上から降りただけで、その意味を察して感動できたり。しかも稽古が中盤に差し掛かったタイミングで『もしかしたらここにも男女の関係があったんじゃない?』なんて急に新しい種を蒔いてくるもんだから…毎日稽古が楽しくって仕方ないです」
物語は悲劇的な方向へ舵を切っていくが、作家本人から“喜劇”と銘打たれている作品。
「ひとつの話題で場の熱量がグッと高まってきたと思ったところで、サッとかわしたり、潰しにかかったりする。うまく進んでいたことが急にコケたりするって、まさにコントの手法と同じですからね。
しかも、関西人なら『なんでやねん』とか『ちゃうちゃう』って、観ながらずっとツッコめる展開で。