『怪物』で主人公を演じた13歳・黒川想矢「全身の感覚も使って演技ができてきた」
是枝裕和監督の最新映画『怪物』に出演し、第76回カンヌ国際映画祭に参加。ガラスのように繊細な少年を熱演し世界の注目を集めた黒川想矢さん。国際的にも評価の高い是枝組の撮影から若き俳優が感じたこととは…?
演技に悩み、考え、作っていく。新鮮な経験の連続でした。
少年と青年の間を行き交うように、夏の太陽の下で一瞬ごとに違う表情を見せてくれた黒川想矢さん。是枝裕和監督の最新作『怪物』で主人公・麦野湊を演じ、世界から脚光を浴びる13歳。そのきっかけは2年前の夏のこと。
「それまでも子役をしていたんですが、一度お仕事に区切りをつけようと思ったタイミングにこのオーディションの話が来て『湊の役をやってみたい』と思ったんです。
オーディションは全部で4回あって、結果が出るまでものすごく長くて…(笑)。その間、お正月に『是枝組に受かりますように』ってお参りした記憶があります」
是枝組には“是枝イズム”ともいわれる独自の手法があるという。幼い俳優には台本を渡さず口頭でセリフを伝えるのもその一つ。
「でも今回は監督から『台本はあったほうがいい?』と聞いてもらったので、僕と(同級生役の)柊木陽太くん…僕は役名で依里くんて呼ぶんですけど、二人で『あったほうがいいです!』ってお願いして。