アニメやゲームが交渉の鍵に!? 難しい舵取りを迫られる、GCC諸国との自由貿易協定
今回の岸田総理の中東訪問は、経済界からの強い要請があり実現しました。日本は2006年ごろからGCC諸国と自由貿易協定を結ぼうと協議を始めていましたが、10年近く交渉が進まない状態でした。それは、サウジアラビア皇太子の、ジャーナリスト殺害への関与や、女性に対して抑圧的など国際的に批判が集まるような人権問題が起きていたため、交渉が途絶えていたのです。他国に後れをとってはならないと、経団連が政府に協議の再開を求め、今回総理は企業団を多く引き連れ、大企業だけでなく、中小企業の技術の売り込みなども打ち出しました。日本の技術が、以前のような存在感を示しているとは言い難いですが、注目を集めているのはアニメやゲームなどのコンテンツ分野です。特にサウジアラビアはゲーム産業に投資し、eスポーツ事業に本格的に参戦しています。
GCC諸国は、日本にとっては大切な貿易相手国。しかし、人権意識など、自由主義国とは違う価値観を持つ権威主義的な国々と、透明性のあるフェアな関係を築けるのか。
非常に難しい舵取りを迫られているんですね。
ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」