地元漁師にも直接の連絡はなく…「福島原発処理水の海洋放出」は決定のプロセスに難あり?
放出開始とともに、中国は日本の水産物の輸入を全面禁止すると発表。農林水産大臣は「想定外だった」と発言しましたが、見積もりが甘すぎたのではないでしょうか。そもそも地元の理解すら得られていないのですから、政治的に緊張関係にある相手国が不安視するのも無理はありません。このコミュニケーション不足は、処理水の安全性の科学的根拠以前の問題です。
これまでも国や東京電力は、福島原発事故に至る経緯や事故後の対処において、隠蔽や改竄を行ってきました。福島県富岡町には、東京電力が設立した「廃炉資料館」があります。そこでは事前に改善のチャンスがあったにもかかわらず、安全を過信して事故を引き起こしてしまったという検証もされていますので、ぜひ一度訪れてみてください。平時は安全だとしても、何か起きた時にはすぐさま伝える。
疑心暗鬼を払拭する伝達の仕組みを作らなければ、理解も信頼も得られません。
ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。
※『anan』2023年10月11日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
(by anan編集部)
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