パーキンソン病と闘う「水どう」歌手・樋口了一「すべてはハッピーエンドのための通過点」
―ご自身は歌手をやめようと思ったことはなかったですか?
樋口さん僕が熊本に移住したのは、いまから12年ほど前ですが、一番声が出なくなってしまったときでもあったので、実は「やめるしかないのかな」と考えたこともありました。ライブをしてもお客さんに対してうまく表現できなかったのが、本当に情けなかったんですよね。
「何があってもバッドエンドはない」と考えている
―そこからどうやってまたモチベーションを上げて、活動を続けられたのでしょうか。樋口さんその瞬間についてはいまでもはっきりと覚えていますが、中島みゆきさんが吉田拓郎さんに向けて書いた「永遠の嘘をついてくれ」という曲をお二人が歌っている音源を聴いたときのこと。自分に言われている気がして、涙が止まらなくなってしまったんです。そのあとに、諦めることを1回諦めてみようかなと。
音楽は世界を変える力があるかどうかはわからないですが、人の気持ちを変えることができるんだなと自分で実感しました。そういった感覚は、ザ・ビートルズを初めて聞いたとき以来だったと思います。
―病気と向き合うなかで、考え方が大きく変わったこともありましたか?
樋口さん僕は「自分=パーキンソン病」