思わずほろり…グレた高校生が“後悔”を機に成長する物語『マイ・リグレット』
おじいさんの愛情に甘えていたのは竜丸も涼介も同じなのに、最初は互いを〈社会のゴミ〉〈クソニート〉と罵り合う犬猿の仲。だが、言い合いをするたびにそれぞれが自分に何が足りないのかに気づいていく。少しずつ変化していく彼らの心情が細やかに描かれ、読む者の心を揺さぶる。
「竜丸と涼介は“後悔”という共通点こそありますが、年齢も性格も価値観も全然違う者同士。パッとすぐには分かり合えない方がリアルですよね。なかなか仲良くならないのでじれったくもありますが(笑)」
登場人物の表情が豊かで、その表現力にも引き込まれる。
「作画では、喜怒哀楽だけでなく、それ以外の言葉にしにくい表情など、そのときどきの感情に合わせた行動なども描くように意識しています。たとえば竜丸は人前で泣いてしまったのが恥ずかしくて、俯いたり顔を隠したりしていますが、そういったそのキャラクターならではの仕草を描くのが好きです」
優しくされても、その感謝を適切な形で相手に伝えられず悔やんだような経験は誰にでもあるだろう。
「私にも、その当時はそうするしか自分らしくいられなかったと思う経験があり、そこから広げて生まれた作品です。取り返しのつかない後悔で苦しくなったときや、ふと立ち止まりたくなったときに、この物語がそっと寄り添えるような存在になっていれば幸いです」