暗い~、ハッピーになれない~! だけど観てほしい! “善意”を問いかける『水平線』
もはや、誰も幸せじゃない、八方塞がり感半端ない人しか出てこない社会派です。超胸クソなことがたくさん起きるし、暗い~、ハッピーになれない~!だけど観てほしいのよ。なぜなら、この映画に出てくる人たちってみんな、特別なことは求めてないし、ささやかな幸せを願っている「フツーの人」ばかりだから。
で、勘違いしてほしくないのが、登場人物には一人も悪人はいないってこと。井口と奈生はもちろん、奈生の同僚も、基本的には善人。物語をかき乱す役割で登場する記者ですら、多少の悪意はあるにせよ、言ってることはごもっとも(仕事の仕方に問題があるので、やってることは反省しろ、なんだけど)。ここ、すごい重要。じつは善意って人それぞれだし、他者からするとそれが善意じゃなくておせっかい、またはマジで害でしかないことになりかねないってことなのよ。
特にこの作品に登場する人たちは、みんな抱えてることが非常にパーソナルなので、他の人とその痛みを共有することも、理解してもらうことも難しいの。そこで強烈な対立分子になるのが記者ってわけ。ほら、記者の人は仕事とはいえ、社会正義の名のもとにガンガン踏み込んでいっちゃうから。この空気の読めない感じが、んまぁ~イラッとすること!
なにせすごいのは井口役のピエールさん。