くらし情報『プロの仕事ぶりを堪能! 校閲の奥深い世界にスポットを当てたコミック』

プロの仕事ぶりを堪能! 校閲の奥深い世界にスポットを当てたコミック

瑞垣さんには、仕事のあり方についてシロウト感覚で質問していく、いわば読者目線に近い役割をしてもらいました。矢彦さんだけは実在の人物を描いています。校閲への哲学や考え方が明確で、そのまま漫画に出したいと思ったんです」

校閲者がゲラ(校正紙)を読んでいて疑問に感じた部分などを指摘することを「鉛筆を入れる」「鉛筆書き」などと言うのだが、そこにも個性が出る。

誤植を見つけたり、ファクトチェックしたりするのは、もちろん仕事として求められる部分ではあるのだが、同時に、文芸の校閲には、実は「これという正解がない」といわれているのが驚きだ。

「校閲者さんはみな作家さんの気持ちや意図を汲むのですが、それゆえに葛藤します。鉛筆の入れ方を経験を積みながら学び、九重さんの言うように、〈百年後に残す一冊を作っていくという意志〉で、さらに次の世代へ技術を引き継いでいく。まさに職人仕事なんだなと。校閲者さんは編集者さんとは違うけれど、作品をより良くするために親身になって一緒に考えてくださっているし、私自身も一著者として、自分が考えた世界について誰よりも真剣に考えてくれる人が一人でも多いのはありがたい。
編集さんだけではなく校閲者さんも味方なんだなと思うと、心強いです」

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