推し活がはらむ闇も!? 推し活のリアルを描いた、少しホラーな物語『コレクターズ・ハイ』
なにゅなにゅファンが集うポップアップショップでの三川の心情や人間観察の描写は、臨場感が鮮やか!
「実際、似たような場面で周りを観察したことがあるので、経験が生きたかなと。でもこんなふうに人を意地悪に見ていたんだと初めて自覚しました(笑)。書きながら自分を発見できるのは小説の面白さです」
終盤のあるできごとをきっかけに、三川は誰も自分を「見ていなかった」ことに気づいて愕然とする。そしてそれは、三川自身が品田や森本さんを「オタクの人」としか捉えていなかったことの裏返しでもある。
「自分が認識している自分と他人から見えている自分の乖離にすごく興味があるんです。今後も書いていきたいテーマのひとつですね」
入社3年目の三川が直面する仕事のジレンマや商品企画のプロセスも丁寧に描かれ、「推しごと&お仕事」小説としても読みどころたっぷり。
「働きながら推し活している女性は多いと思うので、自分ごととして共感してもらえたらうれしいです」
『コレクターズ・ハイ』仕事で成果を出せない三川は、集めたなにゅなにゅに支えられて毎日を保っている。しかしコレクションする純粋な喜びは歪んでいき…。
講談社1485円
むらくも・なつき1994年生まれ。