「日本は戦争とは無縁の平和な国」とは言い切れない? 堀潤が現状を解説
しかし、各国の綱引きにより現在は機能不全に陥っています。今起きている対立は、大もとを辿れば、第一次世界大戦や第二次世界大戦時に欧米諸国によってとられた植民地政策により、領土を奪われたことが大きく関係しています。沖縄はもとより、世界全体を俯瞰すると、戦争は終わっているように見えて、形を変えて続いているのです。
日本の安全保障政策はこの2年間で激変しました。一昨年、岸田内閣と国家安全保障会議は、敵基地攻撃能力や反撃能力を保有する新たな安保関連3文書を改定し、自民党と公明党は、殺傷兵器の輸出の解禁に合意しました。また、ODA(政府開発援助)とは別に「政府安全保障能力強化支援(OSA)」として、各国からの安全保障上の要望に応え、資機材の供与や、インフラの整備ができるようになりました。「日本は戦争とは無縁の平和な国」とは言い切れません。今起きている戦争について知り、根底にある問題に目を向け、平和のために模索することが、戦争の犠牲になった方々の本当の慰霊になるのではないでしょうか。
ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。