折坂悠太「これまでで一番自分自身が出たアルバムになった」 約3年ぶりの4thアルバム
では最後に「戦争しないです」という一節が歌われたりと、ささやかな生活が脅かされる今の社会情勢を想起する切実さが感じられる。決して明るいアルバムではないが、サウンドはとても風通しが良く開けている。
「今作を作っている時期、自宅で料理をしながらマーヴィン・ゲイやアレサ・フランクリンといった往年のソウルミュージックを流すことが多く、そうすると気分が落ち込んでいても音楽と乖離しないんです。ああいう音楽は苦しみが前提にあるけれど、最終的には風通し良くアウトプットされています。歌詞が暗くなればなるほど明るくなる音楽があるように、私には自分の中にある鬱屈とした感情を開かれた音楽にしたいという気持ちがあるんだと思います」
「これまでで一番自分自身が出たアルバムになったので、セルフタイトルにしようかと思ったくらい」と話す折坂さんの表情はとても晴れ晴れしく、解放感に溢れる。
「子供の頃からあった自分の中の満たされない感覚の正体がだんだんわかってきて、歌の中で結論付けられた感覚があります。これまでのアルバムは、できた後『すぐに次の作品を作らなきゃ』と思っていたんですが、今回は『この曲たちを深めてゆっくりじっくり伝えていきたい』と思っています。