話題を呼んだ『ルックバック』が映画化 「AIでは決して作れないもの」を目指す
『チェンソーマン』で知られる漫画家・藤本タツキさんによる長編読み切り「ルックバック」。漫画家志望のふたりの少女が、絵を描くことを通じて紡ぐ10年以上の歴史を、多様なポップカルチャーからの引用や、時事的な問題も盛り込んだ怒涛の全143ページは、Webマンガ誌「少年ジャンプ+」で公開されるとまたたく間に話題を呼んだ。
AIには作れないアニメーションを目指して。
「藤本さんが自身を投影して作品を描き上げたように、絵描きである僕も映画に自身を重ね合わせました。そこまで踏み込む覚悟がないと映像にできないと思ったので」
そう語るのは、劇場アニメ化された本作の監督、押山清高さん。これまでアニメーター、演出家としてスタジオジブリ作品や劇場版『ドラえもん』シリーズなどに参加してきた彼は、代表を務める少数精鋭のアニメ制作会社「スタジオドリアン」を率い、1年半以上の歳月をかけて本作を完成させた。
「少人数で作品を作るスタジオなので、藤本さんの魂が込められた本作とは相性が良かったと思います。絵としても、人間が描くから生まれる線の軌跡をあえて残したり、キャラクターも場面に応じてエモーションに描き方を変えたり、AIでは決して作れないものを狙いました」