長澤まさみ、野田秀樹舞台は「みんなでその場で作り上げていく感覚が面白いです」
ダジャレ交じりのスピード感のあるセリフ。単なる言葉遊びかと思いきや、いつしか言葉が、物語が、二重にも三重にも意味を持ち始め、観客の想像力を掻き立て、深い思考に誘い込む。今なお日本の演劇界の先頭を走り続ける野田秀樹さんの新作舞台『正三角関係』は、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を入り口にした、とある場所、とある時代の花火師一家の物語。
長澤まさみ「宝箱のような脚本で、演じるほど自分の課題が見えてくるのが楽しい」
「野田さんワールド全開で、台本を読んでも読んでも追いつかず、何度読んでも気づきをもらえる、たくさんの人物や要素が詰め込まれた宝箱のような台本です。回想や別の物語が突然現れてきたり、計り知れない奥行きがあるんです。キャラクターも、稽古を重ねる中で思いもよらない設定や奥行きが見えてきて、なるほどと思うこともあって。演じれば演じるほど自分の課題が見えてくる感じも楽しいです」
そう話す長澤まさみさんの言葉の端々からは、稽古を心から楽しんでいる様子が伝わってくる。
「野田さんの舞台は、ただ役を演じるだけじゃないんですよね。
仕掛けがたくさんあって、自分が舞台装置のひとつになった気持ちになるから、始まってしまったらもう前に進むしかない感じがして、それがすごく新鮮で。