本好き猫好きにはたまらない! 『吾輩は猫である』の黒猫の生まれ変わりが登場する『猫と罰』
店には他にも個性的な猫たちがいる。実在したどの作家に飼われていた猫なのかが徐々に分かってきて楽しい。古本の間で気ままにのんびり過ごす彼らの様子がユーモラスで、本好き猫好きにはたまらない。
やがて店の常連の本好き少女・マドカが小説を書き始めたあたりから、物語は創作を巡る話にもなっていく。
「他の作家さんや漫画家さんの作品を読んでいると、ご自身の体験を反映されたものはやはり面白いし深みがある。ただの会社員の自分に強みがあるとしたら、書くことに対する悩みや思いみたいなものなのかなと思い、反映していきました」
実は北斗堂の店主・北星恵梨香が抱える秘密も、物語の創作に関することである。それが明かされた時、物語は大きく動く。
「自分の中で、ゼロから物語を創作することができるのは人間の特権だ、という意識があります。
神様でも創作はできないと思っていたのですが、調べたところ、ある神様の存在を知って。人間との対比として、その神様を物語に関わらせていきました」
後半には予想外の大スペクタクルが広がるが、「世界観が大きめの作品もよく書いていました」とのこと。
「もともとファンタジー要素やSF要素のある、シリアスな作品を書くことが多くて。