冬野梅子の漫画は「ポジティブに現実を過ごすためのネガティブな作品」 ゆっきゅんと語る創作秘話
ゆ:だからみんな身につまされる思いで読んじゃうんですね。
冬:たまに強めの整体を受けたいみたいな時、ありません?(笑)
ゆ:たしかに(笑)。冬野さんの作品の登場人物や読者さんって、私のターゲット層にも近いのかなと思って。「疲れた人全員」に向けて作品を届けたくて、退職の歌を作ったりもしたし。
冬:退職っていいですよね。私、何度か転職をしているんで、辞める時の爽快感って結構わかるんですよ。何かあったら「辞めればいいや」って思える気持ちって、支えになるんですよね。
ゆ:辞めるって決めてからの仕事の気楽さってすごいですよね。
冬:最高ですよね!
ゆ:冬野さんは「こういうのを描かなきゃ」って常にあります?
冬:それは最初で枯渇しちゃうものだなとすごく思います。私の中のベストは、最初に出した短編。あれはなかなか超えられない。
ゆ:超えてるんじゃないですか?
冬:あんなじゃりっとして嫌な漫画はもう描けないかな。あの時は会社員をしていて、自分がまだ作品を作れていないジレンマみたいなものもあったから。それに漫画にしたいテーマや伝えたいことを考える時間がそれまでの人生分あって、それが凝縮されているから今振り返ってもやっぱりいい作品なんですよ。