リオ五輪選手のエネルギーの源は、生まれながらの「不平等」
男は赤ちゃんに向かって語り始める。
「人生は不公平だ。運命を選ぶ権利はない。自分の名前も出身地も決められない。故郷がある保証だってない。家族で国を捨てる者もいる。もうむちゃくちゃだ」
強い口調で語る男を見て泣く赤ちゃんもいるが、男は続ける。
「自分がどう評価されるのかも、人生の幕がどう開くのかも分からない。
だが幕を閉じるのは自分だ」
これは、スポーツブランドのナイキがリオ五輪に向けて放送したCMである。
公開後わずか3日で、YouTubeの再生回数は2300万回以上を記録。
ナイキはこのCMを通して、華やかな舞台に立つオリンピック選手たちが決して平等なスタートを切っていないことを主張した。
様々な国や信仰宗教のもと、彼らは「自分で選んでいないレール」の上を進んできた1人かもしれない。
そういった選手たちのバックグラウンドを、2分足らずの映像で表現したのだ。
映像の最後で、1人の赤ちゃんがベッドの柵に手をかけて立ち上がる。
「そうだ!」男は指をさして叫んだ。