リオ五輪選手のエネルギーの源は、生まれながらの「不平等」
人々の命を救った、元難民少女の泳ぎ
(Photo by La Gazzetta dello Sport)
難民選手団の1人、ユスラ・マルディ選手はシリア内戦で国を追われた競泳選手である。
同じく競泳選手の姉と共に、彼女は祖国から逃げることを決意した。
密航業者が用意したボートには、定員の3倍以上もの人が乗っていた。
彼女と同じように、逃亡を図った人々だ。
出港から間も無く、ボートは水没したが、ユスラと姉は暗く冷たい海にもぐり、人々が乗ったボートを押して泳ぎ続けた。
彼女たちの姿を見た人々は、次々に海に入り、2人の少女を真似てボートを押した。
その甲斐あってボートはギリシャのレスボス島に流れ着き、全員の命が助かったのである。
「私はすべての難民を代表したいと思っています。
なぜなら、苦しみや混乱のあとには、静かな日々がやってくることを示したいからです。私は彼らに、人生でなにか良いことをするように元気づけたいのです」
人々の命を救った彼女の泳ぎは、再びオリンピックの舞台で多くの人に勇気を与えることとなった。