日本にも、人体の一部をモチーフとして扱う作家が存在する。
「細胞アーティスト」のOumaである。
彼女は“細胞”をモチーフにした作品を作り続け、国内外問わず作品を発表している。
元獣医師のOumaは、多くの患者の死に立会う中で、治療の代替としてのアートを考案した。
そして、生命の最小単位である「細胞」をテーマにし、鑑賞者体験型の作品制作をスタートしたのだ。
彼女の作品の特徴は「鑑賞者が作品を切り取って持ち帰ることができる」こと。
“本作は握りこぶし大に一度だけ切り取ることができます。作品を持ち帰りたい場合は10ユーロ。
置いて帰る場合には、握りこぶし大の作品は壁に晒します。飾られている他者の心臓サイズの作品を買い取ることもできます。”
ギャラリー一面に広がる“細胞”に包まれ、触れ、切り取る。
ボルタンスキーの心臓音を鑑賞している時と同様に、命に対峙し、自分や家族の死に思いを馳せる時間となるだろう。
命を考えるアート
(Photo by Ed Yourdon)