痺れを切らした客たちは、注文をせずに受け取り窓口に車を進め、店員に怒りをぶつけた。
「これじゃ、ハンバーガーが買えないだろ!」
客からの苦情を受けた店員は、落ち着いた口調でこう説明を始めた。
「世界では、5人に1人が文字を読むことができないのです。知っていましたか?」
そう、これはバーガーキングが仕掛け人の識字率問題キャンペーンだったのである。
現在、世界の人口のうち20%の人々が読み書きができないとされている。
その原因は、十分な教育が受けられないこと。
バーガーキングはこの識字率の問題を多くの人に知らせ、「体感」してもらうために、苦情を覚悟でキャンペーンに乗り出したのだ。
実際にこのキャンペーンの「体験者」になった人々は、最初こそ腹を立てていたものの、店員から識字率問題の説明を聞くことにより次第に真剣な表情に変わった。
「文字が読めないって、大変なんだな……」
読み書きができない人の困難を実際に経験したことで、問題をきちんと考えるきっかけとなっただろう。