「ゴミを作っている感覚だった」。大量生産・大量消費の服作りに疑問を抱いた男が立ち上げたアパレルブランド
トレンドがめまぐるしく回り続ける今、たとえば10年間、あなたの箪笥を支え続けている服はあるだろうか。いやそもそも、10年という月日を考えて作られる服がどれだけあるだろう。もし10年間着たいと思える服があるとすれば、それはもう服というより、思い出の媒介、アルバムのような役割すら帯びているはずだ。そんな人生に寄り添う服を作ろうというのが、“10 Years Clothing”と名付けられた、新進気鋭のブランド「10YC」。この今までにない挑戦の原動力は、意外なところにあった。「これって自分たちが作りたいものを作ってるだけなんですよ」。いったいどういうことだろう。
10YCのスウェットを着て颯爽と現れた、10YC代表の下田さん10YCの仲間と一緒に住んでたことがあるんですけど、彼がある日、1万円近い値段出して買ったというTシャツを手にして、「これ一回洗っただけでヨレちゃったんだけど、お前の業界どういう仕事してんの?」って言ってきたんです
その日を境に、自分が苦労して納品した服が、翌週にはセール品としてたたき売られている状況。
それでも売れずに処分されていく大量の在庫。しかし次々と新しい服を納品しなければならない日常。