#010「服って廃れるものと廃れないもの、この2種類がある」。編集者・軍地彩弓が“前シーズンの服を着る”基準|赤澤えると『記憶の一着』
欲しいシルエットは毎シーズンの気分で変わるけど、このトレンチコートは繰り返し着ています。サンローランに憧れて、初めて着たコートに感動して、その後自分で買えるようになって憧れのジャケットをパリで購入しました。
私が“ブランド品”に惹かれる理由
える:どれくらいの時に「これが憧れだなぁ」と明確に感じたか覚えていますか?軍地:もともと映画が好きなのですが、『昼顔』にでていたカトリーヌ・ドヌーブがポンパドールのヘアスタイルに、サンローランのトレンチコートを着ていたのが最初ですね。それでブランドの名前を知りました。スダンダードな一枚のトレンチコートなのですが、女性らしさが際立って「こういう大人になりたいな」と思いました。私にとって初めて憧れたブランドなのです。オードリー・ヘップバーンは『ティファニーで朝食を』の中でジバンシイのドレスを着ているとか、その頃の雑誌で学んで。そこからブランドへの憧れが生まれたんだと思います。
ファッションは女性像を作ります。洋服で女性の印象は変わりますし、スタイルという概念も雑誌や映画から学んでいました。える:ただ単にヴィトンやシャネルの財布や鞄を持つということに憧れている人はよく出会ってきましたし、じゃあどうしてそのブランドが欲しいのか?という質問に答えられない人は珍しくないと思います。