くらし情報『30代で東京の商社を辞めて、和紙職人になった女性の「急がば回れな人生」』

30代で東京の商社を辞めて、和紙職人になった女性の「急がば回れな人生」

と谷野さんは笑う。

急がば回れ

取材中に見せてくれたのは、明治時代の大福帳(江戸時代・明治時代に使われていた、商家で売買の勘定を記す元帳)。薬品もあまりない時代に作られたものが今も綺麗に残っている。それは手間と時間をかけて作られたものだからだと谷野さんは言う。アイドルのシンデレラストーリーみたいに、一気に駆け上がっていった人がそのまま上に登り続けることって無理でしょ。そうじゃなくてチクチクと努力を重ねていって、すごく素敵な俳優さんになる場合もあったりするけれど、それと同じ。高度成長期に日本はものすごいスピードで技術発展を遂げ、短い時間でものを作ることが可能になった。だが時間をかけて作られるはずのものが短期間で作られると、谷野さんいわく「すぐに駄目になる」。


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明治時代の大福帳
時間をかけるということは手間もかかる。それでもセオリー通りにやれば意外とそれが近道になったり、そこに便利さによって失われていく目には見えないものがあったりする。それを考えれば、谷野さんにとっては時間や手間をかけることを惜しまない「ドシッとした生き方をした方が自分が楽だな」と話す。


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現在は、学校や美術館、博物館で和紙作りを教える活動も行なっている谷野さん。

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