ジャーナリスト・武田頼政に聞く、八百長問題「いまこそ、転換する時期」
だからむしろ、八百長をしなくてもインセンティブを満足できる勝負環境を作ることの方が重要だと思います。また、相撲の根本にあるべき“清廉さ”がなければ、力士として生きる意味を失うのだということも同時に再確認すべきです」と武田氏。「お金目あてで始めた勉強でも、いずれ道理を学ぶことで生きる目的に変わるはずです。インセンティブを自分にどう当てはめるかによって、人生にもたらす意味は変わってくるのではないでしょうか」。
“国技”として2000年の歴史を誇ってきた相撲。八百長問題の発覚後、その信頼を取り戻すにはまだ時間を要するだろうが、果たして今後、相撲がたどる未来とは…?
「現在の大相撲は、江戸勧進相撲の様式を墨守することで生計を立て、さらに神事や各時代の権力者とも密接に関係を結ぶことによって、国技としての地位を守ってきました。しかし、いまは明らかに転換の時期に来ています。私は、この相撲ほど日本人の精神性を表すものはほかにないと思います。
その相撲が今後も魅力あるものとして存在し続けるためには、“競技性”を失わないことが重要です。そのための組織の大幅な改革が必要でしょう」。
本作で展開される“経済学”について、「人間の行動原理はきわめてシンプルなのだということを再確認できた」