ジャック・スパロウらと徹底比較! ジョン・カーターは新時代のヒーロー像を体現?
それまでイケメンではあるが『シザーハンズ』に代表されるような個性派俳優としての側面が目立ったジョニー・デップを世界中で愛されるスターに押し上げたのも本シリーズ。一匹狼で自由気まま、時にヒーローらしからぬ振る舞いも。従来で言えばオーランド・ブルーム演じるウィルの方が正統派のイケメンで愛する者のために戦うといったヒーロータイプなのだが、ジョニー演じるユーモアと一筋縄ではいかない屈折した内面を持ったジャックは、新時代のヒーローとして世界的な人気を獲得することになった。
『パイレーツ』シリーズの第1作から3年後に公開された、世界的児童文学を映画化した『ナルニア国物語』シリーズに登場するペベンシー兄弟も、上記のような21世紀型のヒーローの資質を受け継いでいると言える。戦争中に田舎に疎開してきた4人の兄妹がナルニア国へと迷い込み、そこで国と民を守るべく戦うのだが、そもそも彼らはごくごく普通に育った兄妹。そんな彼らがライオンのアスランに導かれて国を救うヒーローとしての資質を開花させていく。それぞれ全く異なる性格と個性を持っている点も兄弟ならではだが、特に注目すべきは彼らの心の“弱さ”。時に周囲に嫉妬し、仲間を裏切るなど、ヒーロー像とかけ離れた人間的な姿は観る者に“等身大のヒーロー”を印象づけた。