くらし情報『【シネマモード】『マリー・アントワネットに別れを告げて』女たちの微妙な三角関係』

2012年11月28日 13:33

【シネマモード】『マリー・アントワネットに別れを告げて』女たちの微妙な三角関係

通常、マリー・アントワネットの映画では、絢爛豪華な衣装は必須。もちろん、本作にも数多く登場するのですが、実は今回はそこにあまり目が行きませんでした。混乱を極め、緊張の高まったベルサイユが舞台と言うこともありますが、実は最も煌めいているのが、王妃がポリニャック夫人に寄せる寵愛と、朗読係が憧れと共に王妃に向ける愛情だからかもしれません。煌めく恋心を前にすれば、どんな豪華な衣装にも勝ち目はなし。そんな表現を映像化したジャコー監督のストーリーテラーとしての力量、さすがです。

私が唯一はっきり覚えているドレスと言えば、ポリニャック夫人が着ていた鮮やかな緑のドレス。金糸で花の刺繍があしらわれた、光沢のある美しい素材で仕立てられた目も覚めるようなドレスです。ベルサイユ内の空気が沈み始め、多くの人がモノトーンの衣類を身に着け始めたときに、ポリニャック夫人だけは「緑は希望の色だから」とマリー・アントワネットのためにこのドレスを身に着けて、王妃の前に現れるのです。
実はこのドレスが、物語の終盤に朗読係の運命を左右することになるキーアイテム。王妃の恋心の強さ、それ以外のものは眼中にないという王妃の本音の象徴とも言えます。

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