「色」で観る『ルビー・スパークス』 恋が変える、カレを取り巻く世界の色々
ルビーの出現で無味乾燥なカルヴィンの日々が鮮やかに人間らしさを増していく、その象徴としてルビーの服の色が効果的に使われているのです。
父親を亡くした直後に、恋人に振られるというダブルショックの影響もあり、人生に幻滅気味のカルヴィンは、ルビーが現れるまで愛犬と地味に暮らしていました。その家というのが、全てが真っ白なミニマルなもの。ロサンゼルスを一望できる豪邸で、スタイリッシュには違いありませんが温かみは一切し。さらに、彼が着る服といえば、白、ベージュ、カーキといったもので、組み合わせのせいかどこか地味な印象です。そんなカルヴィンにとっては、ルビーが現れてからの日々はバラ色です。偶然なのか、ルビーが好む色もまさにバラ色。赤はもちろん、黄色、紫、ブルーと鮮やかで華やかなものばかり。
自信を持てず、若いにもかかわらず全くはつらつとしたところがない彼の心に色を添えていく、絵の具のような存在がルビーというわけなのです。
最初、ルビーが姿を現す前、彼女は「赤」として表現されています。本人登場の序章としてまず、赤いブラジャー、赤いサンダルが部屋に出現するのです。さらに、登場シーンでは、ボーイフレンド・シャツ(いわゆるカレのぶかぶかシャツを彼女が着るというやつです)