ジャン・レノ インタビュー 三ツ星の人生の秘訣は、おいしい料理と気の合う仲間
今回シェフを演じるために、どんな準備をしたのかとよく聞かれるが、私は『彼はどんなシェフなのか?』ではなく、『どんな男なのか?』と考えるようにした。私はおいしいものが好きでレストランにもよく行くし、シェフの友人も大勢いる。だからこそ、技術的に彼らを真似るのが無理だと分かっていた。彼らのような包丁さばきを2か月で身につけるなんてできっこない。だが、窮地に立たされた男を演じることはできる。それが私のやったことだ」。
友人たちの仕事ぶりを通して、料理の世界の厳しさも理解している。
「やる気がない者の居場所はないよ。
調理シーンを撮影した料理学校には生徒の若者たちが大勢いたけど、みんな情熱を持っていた。規律ある軍隊のようだよ。シェフは絶対的な存在で、わずかなミスも許さない。料理に不手際があったりして、三ツ星レストランが星を1つ失ったとすると、損失は年間30万ユーロになるっていう話だ。厳しくもなるだろう(笑)?」。
昔気質ゆえにオーナーからは時代遅れの烙印を押されかけ、絶体絶命のアレクサンドルが愛娘に朝食を作りながら、「昔は料理が楽しかった」と呟くシーンがある。その感覚は「『グラン・ブルー』が大ヒットした直後に私も味わった」