くらし情報『【シネマモード】仏映画ファッションから学ぶ“男と女”の胸の内…『ある過去の行方』』

【シネマモード】仏映画ファッションから学ぶ“男と女”の胸の内…『ある過去の行方』

無造作ヘアと無造作風ヘアとは、決定的に違うのです。

そういう意味では、パリの片隅に住む男女をリアルに描いている作品と言えるでしょう。そこには、無造作風ではなく、無造作そのものを見せる大いなる計算がある様子。現実味溢れるパリジャン、パリジェンヌではなく、現実のパリジャン、パリジェンヌを感じさせてくれるのです。

映画というのは、何気なく観える作品ほど、計算が緻密になされている場合が多いもの。登場人物たちを取り巻く不穏なムードや緊張感、キャラクターたちの心理といった目では見えにくい“空気感”を映像化したアスガー・ファルハディ監督。ちょっとしたしぐさや表情、少ないセリフ、俳優たちの語気などを少しずつ積み上げながら、緊張感あふれる空気とそこに生きる人々の心理をち密に描く本作では、服装や家の様子がもたらす情報量は大きいのです。

「女が、服に興味がなくなったら終わり」という人もいますが、新恋人と結婚まで考えているのに、マリー=アンヌからは、女としての喜びというものが全く見えてきません。
すでに新恋人との日々は、恋による非日常ではなく、すっかり日常となっているのでしょう。そんな様子を、服装でも表現して見せる監督は、さすがの観察眼の持ち主。

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