【インタビュー】若手注目株・菅田将暉、縦横無尽な俳優活動のポリシーは「無個性がベスト」
それをごまかすために目を見開いて僕を凝視してくる。それに対して、いかに笑わないかの勝負でした。佐藤さん自身が、疑問を持ちながらも『北の国から』のモノマネをしているところが何よりも面白かったけれど」と激闘をふり返る。
約1週間という短い撮影期間も激闘の一つ。「スタッフ・キャスト全員で台本と格闘して、1日に20ページくらいの分量を撮影しました。ワンシチュエーションという設定も手伝って、撮影はさながら舞台稽古のよう。ヒリヒリする緊張感がありました」と舞台裏を明かす。
ナオキという役どころは見た目こそインパクトはあるが、城田優やムロツヨシらホスト仲間や珍客たちに比べると没個性的。
演じ手としては損な役回りにも思えそうだが…。しかし菅田は「周りにふり回されるという役どころなので、全体を俯瞰で見てはいけないし、演技で遊んでみたり、楽しみ過ぎてもいけない。ナオキのキャラクターがぶれたら、映画ではなくコントになってしまう。冷静さをキープして、欲をなくすことを心がけた」と、漫才でいうところのツッコミ役を自認する。その引き算が、笑いで最重要な緩急を作品に生み出したといえそうだ。この適応能力は、役どころやジャンルに囚われることなく演じてきた下地があるからこそ。