印象派の美人画家モリゾ&光の画家ターナー、2人の天才に迫る映画が連続公開
天才画家の孤独と理解者
また、モリゾがパリに生きた19世紀は、まだ女性たちが本格的に学んだり、職に就いたりすることは困難な時代だった。画家になるための登竜門であった国立美術学校は、女性に門戸を閉ざしていたものの、モリゾはこの時代に才能を開花させる。ルーヴル美術館で姉と摸写をしている際、画家マネと出会った彼女は、彼に導かれてモデルとして、そして女性画家としてたくましく成長してくことになるのだ。
対して、ターナーは精神を病んで亡くなった母の影響で、人付き合いに不器用で極端な秘密主義者だった。ただ、ひたすらに絵を描くことに情熱を捧げていた彼の最大の理解者は、父親。彼に読み書きを教え、画家としての才能を支えたことによって、労働者階級でありながら、史上最年少でロイヤル・アカデミーの正会員になるなど、イギリスが誇る天才画家としての名声を得ていった。
眠っていた天才画家に息を吹き込んだのは2人の名匠
女性画家ベルト・モリゾの半生に息を吹き込んだのは、フランスのカロリーヌ・シャンプティエ監督。彼女は長編監督としては本作が初となるが、過去に撮影監督としてゴダール、ドワイヨン、ジャコー、カラックスなどの作品に携わり、諏訪敦彦監督や河瀬直美監督作品でも撮影監督を、そして第22回東京国際映画祭でも審査員を務め、日本にも縁が深い。