2015年6月19日 21:00
【シネマ羅針盤】自分を“デジタル化”し、表舞台から姿を消した女優の運命は?
公開に先立ち、3月に来日したアリ・フォルマン監督(『戦場でワルツを』)が取材に応じ、こう語っている。「テクノロジーの進歩は止められないから、我々はその長所を見極めるしか付き合い方がない。きっと若い世代にとって、現実かバーチャルかという区別は、もはや本質ではないかもしれない。ただ、SNS漬けになり、気に入ったアイコンで自分を飾りたてると、最後は本来持っていたはずの個性や可能性を見失ってしまう。それが心配だよ」
そんな現代社会への警鐘が込められた『コングレス未来学会議』。自分をデータとして売り渡した女優の運命は皮肉だが、ラストには単なるディストピアものとは一線を画する、穏やかな解放感があふれている。「本人を演じる」というパラドックスに果敢に挑んだロビン・ライトは必見だ。
『コングレス未来学会議』は6月20日(土)から公開。
(text:Ryo Uchida)
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