2015年9月15日 20:00
キム・ギドクが放つモラルを超えた群像サスペンス…『殺されたミンジュ』ポスター公開
それぞれテーマは異なるものの、彼の作品に通底しているのは、不条理な世の中への痛烈でシニカルな社会風刺だ。『嘆きのピエタ』、『メビウス』では、人間の恥部をさらけ出すような生と性を生々しく描いた独自の美学を貫く問題作を発表したが、長編20作目となる本作では、少女殺人事件をめぐり、捕らえられた男たちと武装した集団、容疑者と被害者が入れ替わるスリリングな展開を描く。どんな人間でも加害者にも被害者にもなりうることを示唆し、それぞれの立場で抱える心の闇や嘆きを痛いほどに映し出しながら、観る者のアイデンティティを揺るがす濃密な群像サスペンスに仕上がっている。
複雑な心情を抱える謎の集団のリーダーを演じたのは、『悪いやつら』『群盗』のマ・ドンソク。また、『春夏秋冬そして春』以来、11年ぶりにキム・ギドク作品に出演のキム・ヨンミンが、なんと1人8役を熱演することにも注目。マ・ドンソク演じるリーダーに率いられた謎の集団は、軍隊、警察、清掃員など、登場するたびに異なる制服を着用していくのも見どころだ。
「少女が葬り去られた日、良心はすべてこの世から消えた。」という意味深なコピーと謎の人物の姿が気になるそのビジュアルからも、目が離せない。