くらし情報『【シネマ羅針盤】『ぼくらの家路』ドイツ映画らしい「骨太な、しなやかさ」で魅了』

2015年9月18日 21:15

【シネマ羅針盤】『ぼくらの家路』ドイツ映画らしい「骨太な、しなやかさ」で魅了

(Photo:cinemacafe.net)

(Photo:cinemacafe.net)


もしも幼い兄弟が深夜の町をさまよっていたら、大人としてどうすべきだろうか。一般論では声をかけ、手を差し伸べるのが正解かもしれないが、たとえ善意の行動であれ、状況次第で犯罪者扱いされる可能性もあり、判断が難しい時代になってしまった。

そんなことを考えながら、10歳の少年が幼い弟とともに、行方知れずになった母親を探す3日間を描くドイツ映画『ぼくらの家路』を見た。主人公のジャックは、家を留守にしがちな若い母親の代わりに、家事や6歳になる弟・マヌエルの面倒に明け暮れる毎日だったが、ある出来事をきっかけに養護施設に預けられている。やっと夏休みを迎えるが、母は不在で家に入ることもできず、別の預け先にいた弟の手を取り、ふたりの“家路”が始まった。

妖艶な光を放つベルリンの街をさまよいながら、カフェで手に入れた砂糖とミルクで空腹を満たし、温かいベッドの中で夢を見ているはずの兄弟は、地下駐車場の廃車で眠りにつくのだ。印象的なのは、ジャックの視点に徹したカメラワークが、大人たちの同情や悪意を寄せ付けず、「成長せざるをえない」主人公に寄り添っている点。育児放棄といった現代的なテーマを背景にしながらも、シンプルに人間の弱さとたくましさを焼き付けている。

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