2020年10月18日 14:00
「拷問のような人生」で思いがけない出会いの瞬間…『おもかげ』
演じているマルタ・ニエトは短編『Madre』(原題)撮影後、本作のクランクインまでの約2年間で体つきが変わるまでの減量を行ったという。そんな彼女は「失踪の先には、想像を絶する濃い闇があるんだと思います。死の場合とは違い、なかなかそれを乗り越えられず、どうしても喪に服すことができないというか、人生の次のページをめくることができないのです」とその心情を代弁するかのよう。
「不確実さが残るがゆえに、決して休まることがない。本当に拷問のような人生です。短編(本作オープニングシーン)でのエレナは生き生きとしていて決断力があり素直ですが、その後のエレナはボロボロになっていて、生きることへの欲や食べることへの欲もなく、何とか生き延びるような生き方しかできなかったのです…ジャンと出会うまでは」と言う。さらに、「エレナにとってのこの10年間を省略することは、映画の中で描かれなくても自分の中で作り上げ、習慣化しなければならないものでした。そこが一番骨の折れる作業でもあり、そこに何カ月も費やしました」と語る。
そんな彼女がこの先、少年ジャンと関わり始めることでその内面にどう変化が訪れるのか、ぜひ注目してほしい。