鬼才ギリアムを虜にしたミューズ、リリー・コール 彼女が見る“鏡”の中の世界は…
と言うのも、渡された脚本には、彼女に関する明確な描写がさほど書き込まれていなかったから。私はテリーと常に話し合い、一からヴァレンティナを作り上げることができたのよ」。
リリー曰く、「ナイーブで、勝ち気。でも、気持ちはすごく優しい女の子」というヴァレンティナは、旅芸人のジプシー生活にうんざりし、普通の暮らしに憧れている。一方、世界で活躍するスーパーモデルとして広く知られ、常に周囲の目に晒されるリリー自身の人生にも、普通ではない側面がある。
「その通りね。私自身、それこそがヴァレンティナに強く共感させられた部分なの。テリーもそう思ったみたいで、“ヴァレンティナは、父親によって普通ではない生活を強いられている。
ある意味、普通の人とは違う生活を送ってきた君に似ていると思わないかい?”と言っていたわ」。
また、ヴァレンティナの役作りをする上で大いに役立ったのは、衣裳の数々だとも。鏡の中の世界でまとう美しいドレスから長い髪で豊満な裸体を隠すのみのセクシーなステージ姿まで、いろいろな彼女が見られる。
「この作品の全てが“テリー・ギリアム!”という感じだけれど、間違いなく衣裳もそのひとつね。私が一番気に入っていたのは、普段のヴァレンティナが着ているジプシーの服よ。