くらし情報『【レビュー】香港アクション映画のプライドをつなぐ、『レイジング・ファイア』の魅力に酔う』

2021年12月24日 16:30

【レビュー】香港アクション映画のプライドをつなぐ、『レイジング・ファイア』の魅力に酔う

魅力的な悪役と、キャラを際立たせるアクション

分かりやすい善悪の対立構造だが、両者ともにキャラクターを決定づけるドラマがある。警官側と犯人側、それぞれの仲間たちが濃い絆で結ばれているのもお約束。香港の民主化デモなどを経て、すっかり印象が悪くなってしまった香港警察。本作でも上層部の不正が描かれるが、大ベテランのサイモン・ヤム演じる上官の粋な差配にニヤリとする人は多いはず。

【レビュー】香港アクション映画のプライドをつなぐ、『レイジング・ファイア』の魅力に酔う

何と言っても復讐の鬼と化したンゴウの造形にしびれる。19歳でベニー・チャン監督の『ジェネックス・コップ』(99)に出演し、アクション開眼したニコラス。未来の香港映画の担い手として注目された彼が、約20年の月日を経て、同監督の作品に成熟した魅力を焼き付けた。エリート警官から、ジョーカーを思わせる悪への変貌ぶりに、収監されていた日々の苦痛がにじむ。
バタフライナイフを使ったミニマムな動きの戦い方が彼の閉ざされた監獄での日々を思わせ、暗い狂気を表現する。

主演のドニーがアクション監督も兼任。谷垣健治氏がスタント・コーディネーターを務めているクライマックスのドニーとニコラスの一騎打ちは見逃し厳禁だ。アクション俳優ではないニコラスが世界のドニーの好敵手に見えるよう、見せ方や編集に工夫を凝らしたそうだが、この映画は全編を通してアクションも演技だと改めて認識させてくれる。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.