2022年3月9日 14:00
自然に囲まれた“聖地”で過ごす、停滞期カップルのすれ違い『ベルイマン島にて』場面写真
は、どれも木をふんだんに使ったぬくもりが感じられるナチュラルかつ洗練されたインテリアで、ベルイマンファンや映画ファンはもちろんのこと、北欧インテリア好きも見逃せない。陽光に包まれる巨匠の仕事部屋に吸い寄せられるクリスを切り取ったカットは、聖域に足を踏み入れようとしているかのような神聖さも感じる。
そこかしこに巨匠の息吹が宿る島での旅暮らしの中で、クリスは自身の実らなかった初恋を投影した次回作の脚本執筆に取り掛り、その構想は本篇中でエミリー(ミア・ワシコウスカ)を主人公とした劇中劇として描かれる。劇中劇を切り取ったカットには、北欧の夏の清涼感とともに、自分ではコントロールできないエミリーの恋の情熱や切なさが詰め込まれている。
そのほか、海に行っても、草原を散歩しても、どこか心晴れない様子のクリスの姿がとらえられており、少しずつすれ違っていくトニーとの距離感が垣間見える。憧れの人物の存在を全身で感じる島で展開されるクリスの物語、クリスが生み出す劇中劇として紡がれるラブストーリーの行方、そして、クリスの目を通して目撃されるベルイマンの所縁の部屋や品々…。彼女が“聖地”でインスピレーションを得て創作したストーリーの先にあったものとは?カップルの行く末が気になる場面写真となっている。