『春との旅』徳永えり 「仲代さんとは祖父と孫の関係で芝居で繋がってました」
とはいえ、祖父・忠男と春の関係は、決して“分かりやすい”優しさや愛情で描かれているわけではない。2人の間の“距離”や春が抱える寂寥感をスクリーンに映し出すために、小林監督からは現場でこんな指示が出されたという。
「監督からは、仲代さんとは親しく話をしないようにと言われましたし、スタッフさんにも私に優しく接しないように指示を出されていたそうです。『基本的にひとり、孤独でいなさい』と。ずっと現場でひとりぼっちでした(苦笑)」。
こうした経緯もあって、仲代さんと撮影以外で接する機会がなかったそうで、少し残念そうな表情を見せる徳永さん。
「そうなると、もう(仲代さんを)祖父としてしか見られなかったです。仲代さんも“忠男”としていらっしゃるので、それに応えるには私も“春”でいなくてはいけない。
ある意味、芝居で繋がっていました。その中で、仲代さんの芝居に取り組む姿勢には本当に感銘を受けました。撮影が始まる前に仲代さんが私に『僕はいつも役と向き合うとき、新人のつもりで挑んでる。君と同じスタートラインに立っているんだ』ということをおっしゃってくださって、すごくありがたくもあり、驚きました」。女子高生から妊婦まで、映画やドラマで様々な役柄を演じ、存在感を見せる徳永さん。