広瀬すず“榊さん”の衣装やシェアハウス…『水は海に向かって流れる』田島列島の世界観を作るスタッフたち
と語るように、色味や素材感などを前田哲監督と話し合い、何度もカメラテストをし、青い空、青い海、青いワンピース、青いグラデーションが美しいワンシーンとなった。
ブルーのワンピースを着たシーンの撮影は、実は真冬の1月だったが、穏やかな波が打ち寄せる優しい色合いの海が映し出され、広瀬さんの無邪気な演技にも思わず見入ってしまう本作を象徴とするシーンの1つとなっている。
シェアハウスのトーテムポールがファンタジーの世界へ導く
また、本作の舞台であるシェアハウスにも美術を担当した布部雅人の強いこだわりが現れている。『偶然と想像』や『劇場版美しい彼~eternal~』の美術を手掛ける布部さんは、「美術を考えるうえで、まずは監督のイメージを優先します」と話す。
前田監督からは“10cm浮いた世界”をオーダーされた。榊さんの部屋の一部や、茂道(高良健吾)の部屋のコタツなど、原作をそのまま表現したところもあれば、「家の佇まい、部屋の間取り、周辺環境など合致する物件に辿りつくまで2か月程かかりました」と話すほど、映画ならではのファンタジックな世界観の実現と、田島列島の世界観の実現のバランスに苦労もしたというが、この絶妙なバランス感覚が“10cm浮いた世界”を作り上げていく。