堀田真由主演、鶴岡慧子監督で日本の伝統工芸・津軽塗を描く『バカ塗りの娘』。昨今、タイムパフォーマンスを表す“タイパ”という言葉を耳にするようになったが、何事にも効率やスピードを重視されるようになった現代社会において、少しの間立ち止まって観てほしいのが、塗っては研いでを何度も繰り返すことから“バカ塗り”と言われる津軽塗が繋ぐ今作や、樹木希林演じる老女が丹精込めて作る美しい粒あんに魅せられる『あん』、黒木華演じる主人公がお茶の世界に出会い引き込まれる『日日是好日』といった作品。
日本が世界に誇る伝統工芸や文化、食に触れるこれらの作品は、深呼吸のように心に沁み入る緩やかな時間を感じさせ、ひたむきに丁寧に何かと向き合うことで、毎日が、ひいては人生が彩られていくことを教えてくれそうだ。
『バカ塗りの娘』
日本が誇る伝統工芸・津軽塗、通称“バカ塗り”。完成までに四十八工程あり、バカに塗って、バカに手間暇かけて、バカに丈夫と言われるほど、“塗っては研ぐ”を繰り返す。そんな“バカ塗り”を通して、つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘の絆、そして家族の物語が描かれる。
津軽塗職人の父・清史郎(小林薫)