『先生の白い嘘』奈緒&三吉彩花&風間俊介のヒリつく冒頭映像&原作者・鳥飼茜のコメント到着
彼等の告発がたとえ事後何年後であれ、その葛藤を私は讃える。きっとそこには声を上げない選択をした人がいるだろう。それでも、誰かがこういう目に遭いました、と堂々と発する姿は、無言の被害者を否定することではなく、むしろ静かにその存在を肯定するはずだと、私は思う。
そう思っている人間がここにいますと、声を上げたくて描いたのが『先生の白い嘘』という漫画だ。だからどんな演出をされようが映画『先生の白い嘘』もそういう立場でないといけないと、少なくとも原作の私は思っている。
漫画が映像化するということは基本的には光栄なことだ。それでも、メディア化というある種自分の手を離れる場面にあたって、自分は自分の描いたこの作品に最後まで粘り強く責任を取り続けたか、と問われると自信がない。
自分はこの漫画を描くとき確かに憤っていたのだ。
ひとりの人間として、ひとりの友人として、隣人として、何かできることはないかと強い感情を持って描いたのだ。それはある意味特別で、貴重な動機づけだった。漫画に対していまあんな情動は持てない。
性被害に対し、何を言い、どんな立場なのか。そのシンプルで一方向的な態度と、より大勢のひとを巻き込む映像化というプロセスは、両立させることが非常に困難なものだと思う。