くらし情報『理研、安定なベンゼンの炭素-炭素結合を室温で切断』

2014年9月1日 13:10

理研、安定なベンゼンの炭素-炭素結合を室温で切断

この他にも、これまで構造が明確なさまざまな分子性の金属化合物が開発され、これを用いて比較的温和な条件での炭素-炭素結合の切断反応が試みられてきたが、温和な条件でのベンゼン環の炭素-炭素結合の切断反応は成功していなかった。

一方で、研究グループは2013年に、3つのチタン原子(Ti)からなる新しい多金属ヒドリド化合物(チタンヒドリド化合物)を開発し、これを用いて非常に安定な窒素分子の窒素-窒素結合の切断、および窒素-水素結合の形成に成功している。今回、このチタンヒドリド化合物とベンゼンの反応を試みたところ、室温という温和な条件で炭素-炭素結合が切断できることを発見した。この反応を検証した結果、まずベンゼン環が3つのチタン金属上に結合し、その後これら3つのチタン金属が互いに協力し合って炭素-炭素結合の切断に働いていることが明らかになった。分子レベルでベンゼン環が切断される様子を明らかにしたのは今回の研究が初めてであるという。また、ベンゼンだけでなく炭素が1つ増えたトルエンでも同様の炭素-炭素結合の切断反応が観察されたとしている。研究グループでは、今回の成果により、工業的な芳香族化合物の分解反応のメカニズム解明、温和な条件で反応が進行する新しい触媒の開発などに有用な知見を与えることが期待できるとコメントしている。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.