2014年10月23日 16:33
日立、陽子線がん治療システムが医療機器の製造販売承認を取得
日立製作所は10月23日、2010年に国家プロジェクト「最先端研究開発支援プログラム」の採択を受けて、北海道大学(北大)と共同開発を進めていた動体追跡照射技術を適用した「陽子線治療システム PROBEAT-RT」について、薬事法に基づく医療機器の製造販売承認を取得したと発表した。
陽子線がん治療は、放射線によるがん治療法の1つであり、水素の原子核である陽子を加速器で高速に加速し、腫瘍に集中して照射することでがんを治療するものである。治療に伴う痛みがほとんどなく、身体の機能と形態を損なわないため、治療と社会生活の両立が可能であり、QOL(クオリティオブライフ)を維持しつつ、がんを治療できる先端の治療法として期待されている。一方で、脳の腫瘍のように動かない部位では、集中して照射するピンポイントの治療が可能だが、肺や肝臓のような体幹部の腫瘍は呼吸などで位置が変動するため、腫瘍位置をリアルタイムで捉えて正確に陽子線を照射する技術が切望されている。
今回、薬事法に基づく医療機器の製造販売承認を取得した「陽子線治療システム PROBEAT-RT」は、北大の持つ動体追跡照射技術と日立の持つスポットスキャニング照射技術を組み合わせた陽子線治療システムである。