2014年12月19日 14:42
自閉症、ADHDなど複数の精神疾患に関わる遺伝子の働きを解明 ‐ NCNP
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)はこのほど、同センター神経研究所病態生化学研究部の堀啓室長、星野幹雄部長らの研究グループが、さまざまな精神疾患に広く関わる「AUTS2」遺伝子の働きを世界で初めて明らかにしたことを発表した。
AUTS2遺伝子は、自閉症スペクトラム障害、統合失調症、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、薬物依存などのさまざまな精神疾患に関連し、てんかんの発症にも関わることがわかっている。
これまで、この遺伝子がコードする「AUTS2タンパク質」が神経細胞の細胞核に存在し、何らかの作用をしているのではないかと考えられていた。しかし、その働きについてはほとんどわかっていなかったという。
同研究グループは、AUTS2タンパク質が神経細胞の細胞核だけでなく、細胞質領域、特に神経細胞突起部分にも多く存在することを見いだした。また、この神経細胞の細胞質において、「Rac1」や「Cdc42」(※2)という分子の活性を調節し、神経細胞内の「アクチン構造」(※3)を変化させていることが明らかに。さらに、その働きによって、AUTS2が神経細胞内のアクチン構造を自在に操り、神経細胞の動きや形態変化を制御することによって、脳神経系の発達に関与していることが示された。