2015年2月1日 10:00
フィギュア製造の現状と課題、そして国内工場新設の理由 - 安藝社長に聞くグッドスマイルカンパニーの視点【前編】
トレーニングの時間も短くなりますから、工程数をもっと細かく割って、分業を進めるしかなくなります。そうすると、工程が分断されて、作業ごとの歩留まりが悪くなっていく。例えば2,000工程あるとして、各工程で1%ずつとミスが出るとなると、最終的に膨大な数の不良品が出てしまうわけです。こうしたリスクの増大は弊社に限ったことではなく、フィギュア業界全体に言えること。他のホビーメーカーさんやおもちゃメーカーも、リスク分散の観点から、中国以外の色々な地域に工場を移すケースがあります。フィリピンやベトナム、マレーシアなどですね。そこで弊社としても、中国以外に工場を持つことにしたのです。
昨年12月、鳥取県倉吉市に竣工した国内初となるフィギュア工場「楽月工場(通称:ラッキーファクトリー)」の様子|
――しかし、なぜ国内だったのですか? 他のおもちゃメーカー、ホビーメーカーと同じく、フィリピンやベトナムという選択肢はなかったのでしょうか。
ここはフィギュアの特殊性が関係しています。例えば一般的な玩具であれば、成形して組み立て、塗装してシールを貼って出荷――という風に、作業の内容が比較的シンプルなので、今すぐ別の国に持っていっても大丈夫でしょう。