一冊の新書の向こうには、国道マニアの世界が広がっていた - 『ふしぎな国道』著者・佐藤健太郎に聞く国道の魅力
良い本の定義は、「本を読んだ後に世界の見方が変わる」ことだと僕は思っています。この本は、そういう視点が届けられたのかもしれません。道路というのは、普通はただの手段でしかないけど、マニアにとっては目的です。このように、視点をぐっと変えてもらえたということですね。
――手段が目的になっているんですね。
国道マニアの合言葉で「手段のためなら目的を選ばない」という言葉があります。道を走るという手段のためなら、目的は別に何でもいいから走ってみたいという人達が確かにいて。家族をドライブに連れて行くと称して国道を走るということができるので、趣味としては有意義――かと思っているんですけど(笑)。
ちょっと気をつけて見ているだけでも、「ここにこの道ができている」とか発見がありますから。
○新書は表紙を見ているだけでも情報が得られる
――今回のインタビューでは新書の魅力についてもお聞きしたいのですが、著者として、ずばり新書についてどう考えておられますか?
著者としては、正直つらいですね(笑)。こんなにがんばって書いたのに、一冊あたり数十円の収入か、と。しかし裏を返せば、買う方にとっては大変にありがたいということでもあります。