だから、日ごろ余裕を持って仕事を終えている時は、本当はまだまだ余裕があるのだ。余裕があるうちに終えてしまうと、次の仕事を前倒して初めてしまう。そして次の仕事も余裕をもって前倒して完了してしまう。「早く完了する」という意味ではそれに越したことはないが、いつまでも「切羽詰らなく」なるのである。
ところが、切羽詰ったからこそ、結果的に良いできになることもよくある。そういうことが実際にあるからこそ「甘いささやき」に乗ってしまうのだ。余裕をもって完成させた仕事よりも、切羽詰ってその場で考えて、土壇場の集中力で達成した仕事の方が、結果的に「切れ味」が良いことがある。
こうして、最近では時間の「ある・なし」に関わらず、何にもしない待ちの時間を、あえて設けたりする。
その間、何かまったく別のことに没頭する。
そういえば、戦国時代のどこかの武将が、合戦の際、本来ならば攻め込んでくる敵の部隊を極限まで引き寄せた上で、鉄砲隊が正面から一斉発砲する手はずのところ、自軍の数名の兵士が焦って早く発砲を開始したせいで、戦力が分散して勝利のタイミングを逸し、大混乱に陥ったという話を聞いたことがある。もっとも、今は戦国時代ではない。