韓国、月探査ローヴァーの試作機を公開 (1) 大統領が掲げた「2020年に月に太極旗をはためかせる」という目標
この大きさは、これは他国の月探査車と比べると小柄だが、グーグル・ルナー・Xプライズ(Google Lunar XPRIZE)に参戦しているチームの中には10kg台のローヴァーを開発しているところもあり、小さすぎるというわけではない。
KISTによれば、このローヴァーの最大の特徴は胴体が2つに分割されていることにある。これによりローヴァー全体がサスペンションのように機能し、障害物を乗り越える際に車輪が地面を捉え続けることができるようになっている。この機構は「パッシヴ・ダブルトラック・メカニズム」と名付けられており、KISTが以前開発した「ROBHAZ」と呼ばれる、危険な環境下で作業するためのロボットの技術が応用されているという。地球上の自動車で使われているようなサスペンション機構は、月ではそのまま使えないため、これは妥当な解決策だ。
最高速度は秒速4cmで、約30度の坂を上ることができ、約5cmの石を乗り越えられるという。この性能は月探査ローヴァーとしては妥当なものだ。地球と月との通信には往復で3秒ほどのタイムラグが生じるため、ある程度自律して走行する必要がありスピードは追求できず、また大きな坂や障害物を踏破でき、なおかつ月面でも使えるモーターや軸受けなどの開発は非常に難しいという事情があるためだ。