韓国、月探査ローヴァーの試作機を公開 (1) 大統領が掲げた「2020年に月に太極旗をはためかせる」という目標
なお、軸受け部分に関しては、高真空状態の月面でも使える固体潤滑軸受を新たに開発したという。
また、今回公開された試作機には取り付けられていないが、完成予想図によれば、車体の前部にはグラインダー方式の研磨システムを持ち、月面の岩を削って分析が行える科学機器が取り付けられるようだ。また車体前部の上面にはステレオカメラがあり、上下左右に回転できるようになっている。電力は上面に搭載された太陽電池によってまかなわれるとされる。
ところで、月探査ローヴァーにとって最大の敵は月面の温度環境だ。月はおおよそ2週間ごとに昼と夜が訪れ、昼の温度は120度、夜は-180度にもなるため、月探査車にとってはこの夜を越える技術が必要となる。これを越夜技術という。
かつてソヴィエト連邦が1970年代に打ち上げた月探査ローヴァー「ルナホート」には、ポロニウム210という放射性物質が搭載されており、その崩壊熱によって車体を暖め、機器を月の夜の低温から守るようになっている。
また中国が2013年に打ち上げた「玉兔号」にもプルトニウム238を使ったヒーターが搭載されている。韓国MBCの報道によれば、韓国のこのローヴァーにも放射性物質を使ったヒーターが搭載されることになるという。